秋らしいとはとても言えない気候ですが、庭ではトンボが飛び回り気配はあります。

佐賀市で、前参議院議員の大門みきしさんの講演会があったので参加しました。関西出身で朴訥な雰囲気は親近感を覚えます。国会のテレビ中継を見ていても、決して大上段に構えて質問するのではなく、事実を積み上げて分かりやすく話をするので、ラジオでよく聞いていました。特に経済の問題に強く、著作は息の長い売れ行きだそうです。

「失われた30年」の解説では、やはり、賃金が上がってこなかった点に根本的な問題があると指摘していました。30年前くらいから「価格破壊」が企業の方から叫ばれ、流行語になったことは自分もよく覚えています。とにかく安売りということで、その付けは人件費のカットになりました。「一貫して、賃金カットによるデフレが起こっていると主張してきたが、なかなか世間に浸透しなかった」と、苦労話もありました。

社会保障費の自然増の歳出カットの問題では、「なんでも改悪、削減で、どうしても後ろ向きの考えになってしまう人も多いと思うが、社会保障の分野は大事な経済活動だと考えることが大事」との指摘は、勉強になりました。日本の経済の約四分の一を占めていて、それを維持、発展させていくことは非常に重要だと。

医療、年金、介護、生活扶助、雇用保険などの社会保障には、より生きがいのある生活を求めてチャレンジすることを保障する役割もあると、強調していました。確かに今は、一度挫折的なことがあると再びチャレンジすることが難しい時代だと思います。「ブラック的な面があり、今の会社を辞めたいが、辞めたら二度と正社員になれないと思い辞められない」という青年の相談を受けたこともあったと。

カジュアルな格好で一人で遠路来られ、終わるとファンの人たちと記念撮影をして、事務局の軽自動車で佐賀駅に向かいました。勉強になり、爽やかな気分にもなれた講演会でした。